お子さんがいるご家庭では色々お金がかかりますよね。衣食住についてはもちろん、みなさんが悩んでいるのが教育費かな。「10年、20年先のことはわからないから」と具体的に貯めていない人も多いのですが……。
こんにちは、しばちゃん。今回の「子どもがいる家庭編」もよろしくお願いします。
いよいよ、シリーズ最終回ですね。今回もしっかり勉強します。よろしくお願いします。
教育にはどれくらいお金がかかるのか?
教育にいくらかかるのか?現実の金額をみて驚かれる方も多いです。
教育費は、高校までの費用は親の年収の範囲内でまかない、高校卒業後の進学費用は積立で準備しておくのが基本です。
たとえば、大学費用がどのくらいかかるのか次の図をご覧ください。
国立か私立か、文系か理系かの進路によって、必要になるお金が大きく異なることがわかります。
医科系になると、ケタ違いに費用がかかります。
進学先別の大学にかかる費用
※平成22年度 国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について(文部科学省)(すべて昼間部)、平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について(文部科学省)を基に作成。
あくまで平均なので、各大学や、学部や学科によってもかかる費用が異なります。受験時期が近づいたら、あらかじめ希望大学の学費を調べて準備しておくことが必要です。各大学のホームページで簡単に確認できますよ。合格はしたけど入学資金と初年度の学費が払えずに進学できないというケースも聞きます。我が家で捻出できる学費について親子で早いうちから話しておくことがとても大切です。
県外に進学する人もいますよね。その場合はどうですか?
家庭によってさまざまなんだけど、仮に家賃関連と生活費で毎月8万円を仕送りしようとすると4年間で384万円、入学時に引越し費用や家具家電などを揃える費用も必要です。毎年のテキスト代や実習費は別なのでさらに数十万円の上乗せがあると思ってください。
しっかりアルバイトできる環境ならいいけれど、そうでないなら事前に親子で話し合ってお金の計画を立てておかないと、こんなはずではなかったと後悔することにもなりかねませんね。
そういえば、奨学金という方法もありますよね。
平成30年度の調べでは、約2人に1人の学生が奨学金を借りていることがわかります。
奨学金を受給している学生の割合
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- ※受給者の割合は、調査時点(平成30年11月)における最近1年間に「日本学生支援機構の奨学金」と「日本学生支援機構以外の奨学金(給付・貸与等)」のいずれか、または両方を受給した学生の割合。
〈日本学生支援機構「平成30年度 学生生活調査」〉
ただ、借りることはできても卒業後には返済が始まるので、就職後は給料の中から返済することをあらかじめ子どもに知らせておくことが必要です。
というのも、大学に進学する際は卒業後の返済負担が理解できていないケースも多く、こんなことなら借りなければよかったと後悔する場合も少なくないからです。借りる場合は、無理なく返済できるように計画しておきましょう。2019年3月に労働者福祉中央協議会が発表した「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」によると、日本学生支援機構奨学金の借入総額の平均は324万3,000円、毎月の平均返済額は1万6,880円でした。
教育費も計画的に貯めておかないと、進学時に親子で悩むことになりそうですね。
具体的にはどう準備すればいい?
そこで、大切なのが教育資金のための積立です。
生まれたら18年後には必要になるのがわかっているお金ですから、なるべく早くから積立を開始しましょう。大学に進学する場合は1人当たり300万円~500万円が目標になります。子どもが2人なら2倍、3人なら3倍となるので早めの準備が大切なんです。
子どもの教育費は具体的にどんな方法で準備すればいいんでしょうか。
そうですね。考え方としては次のような方法が考えられます。それぞれ特徴をみてみましょう。
お子さまの進学時期は家庭により異なりますが、年代別の積立例をご覧ください。
【年代別積立例】
30代世帯 必要なお金の準備を始める時期。バランスよく着実に積立てましょう。
〇教育資金/一般財形で 大学資金用に児童手当には手を付けずにそのまま貯める。
〇老後資金/ iDeCoで 少額でいいので積立を始める。
〇その他の資金/一般財形で
40代世帯 本格的に貯めなければならない時期。老後資金も考えながら積立てましょう。
〇教育資金/一般財形で 大学資金用に児童手当には手を付けずにそのまま貯める。
〇老後資金/iDeCoで 積立を続ける。
〇その他の資金/余裕があればつみたてNISAを始める。
50代世帯 老後資金の確保も忘れず教育資金作りのラストスパート
〇教育資金/一般財形で ラストスパートで大学資金を準備する。
〇老後資金/ iDeCoで 教育資金が終われば積立額の増加も考える。
〇その他の資金/つみたてNISA 今後の資金ニーズに合わせて、積立額を見直す。
生活に余裕があるからといって子どもの習い事を増やしたり、思い出作りの旅行などに頻繁にお金を使っていると中々たまらないですね。教育資金をいくら貯めるか子どもが生まれた時からの計画が大切なんですね。
たとえば、公立の小学校に通っている時期だと家計に余裕ができやすいです。この時期に貯められなければ以後は中々貯められません。塾やスイミングなどの習い事の増加に注意です。
学資保険やNISA、iDeCoなどを紹介しましたが、そんなに余裕はないというご家庭の場合には積立預金や定期預金がおススメです。何かあればすぐに現金化できるからです。
学資保険などは、途中で保険料が払えなくなって強制解約すると元本を下回る恐れがあります。
保険を使う場合は万一の親の死亡リスクに対応できるというメリットがあり、契約者である親が亡くなったら保険料の支払いがなくなり、満期時には満期保険金を受取ることができます。ただし、保険コストが大きいとせっかく積立てた満期金が元本を下回る可能性もあるので、保険の提案書をしっかり確認しましょう。
NISAなど投資信託の場合だと、急にお金が必要になった際に途中解約を行うと元本を下回っている可能性もあります。長期投資が可能であれば2%~5%位で運用することも可能ですが、教育資金が必要な時に必ず利益を上げているとは限らないので、値下がりしていた場合には他の預貯金から教育費を捻出することができるように準備しておく必要があるんです。
また、iDeCoは60歳以降にならないと引出せないので、始める前に商品の特性をきちんと理解しておきましょう。
積立預金・定期預金やつみたてNISAをバランスよく組み合わせて教育資金を準備することが大切ですね。
教育費を積立てる原資はどうすれば?
積立の原資としては、子育て世帯に支給される「児童手当」がいいでしょう。
児童手当とは、地方自治体から支給される子育てを支援するための手当てのことです。
児童手当は国の制度ですので、金額は全国一律です。
●児童手当の給付対象は?
原則として日本国内に住所があり、中学校3年生 (15歳に達する日以後の最初の3月31日)までの児童を養育している父母等
●手当額は?
※子ども一人あたりの月額/所得限度額内の場合
区分 | 金額 |
---|---|
0~3歳未満 | 15,000円 |
3歳~小学校終了までの第1子および第2子 | 10,000円 |
3歳~小学校終了までの第3子以降 | 15,000円 |
中学生 | 10,000円 |
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●所得限度額はあるの?
以下の所得額を超えると、手当額は一律5,000円になります。
扶養親族等の数 | 所得額 |
---|---|
0人 | 622万円 |
1人 | 660万円 |
2人 | 698万円 |
3人 | 736万円 |
4人 | 774万円 |
5人 | 812万円 |
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●支給時期は?
10月(6~9月分)・2月(10~1月分)・6月(2~5月分)の年3回
児童手当は、上記のように子どもの人数や年齢により手当額が異なります。
例えば、子どもが1人だと、0〜2歳までが15,000円(3年間、合計54万円)、それ以降は中学3年生まで10,000円(12年間、合計144万円)で、合計は198万円になります。
約200万円を国から支給される児童手当で貯められるわけです。手当を受取って生活費として使ってしまうと無くなってしまいますが、しっかり貯めておくとまとまった教育費の準備ができます。
教育資金を貯めるのは、早めの取組みと児童手当がポイントになりそうですね。
そうなんです。それから、もう一つ検討して欲しいことがあります。
それは、親や祖父母からの援助です。親や祖父母の老後資金に余裕があるようでしたら、お願いしてみることも検討してください。
年間110万円までなら受取っても贈与税の対象にはなりません。非課税です。また、入学金や1年分の学費や必要な生活費を祖父母に出してもらったりしたときにはそもそも贈与税の対象にはなりません。このような仕組みを利用して、親や祖父母にお願いしてみるのも教育資金作りの一つの方法です。
※贈与について検討される方は税務署などで事前に確認されると安心ですね。
そんな方法もあるんですね。余裕があるなら「孫のために援助したい」という祖父母の方がいらっしゃるでしょう。
ご家庭の状況に合わせて教育資金の作り方にはいろいろあります。住宅資金や老後資金と同時に進行していくので計画的な積立が必要です。
もし、必要なければ老後資金に使うなどできますからね。
いくら貯めればよいかわからないという方は、児童手当を中心に国立大学分の250万円を目標に貯められたらどうでしょうか。加えて、出産時や誕生日のお祝い、お年玉を積立てるのもおススメです。総額で300万円近くになると思います。
月々の積立額の計算方法は、18歳まで何年あるかで異なってきます。
出産直後なら、
250万円÷18年間÷12カ月=1万1,574円≒1万2,000円 月々の積立額は1人当たり1万2,000円となります。
いくつかの金融商品に分けてもいいわけですね。
早速、来月出産する友達に〈中国ろうきん〉での学資積立「ドレミ協奏曲(コンチェルト)」をおススメしようと思います!
さすがしばちゃん(笑)
髙橋先生!
5回にわたり本当にありがとうございました。
これからの人生で、その都度資産運用について見直しながら、ますます「お金に強い女性」をめざします!
わかんなくなったら、またお話を聞かせてください!!
もちろん!(笑)
人生100年時代を乗り切る資産運用
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くらしとお金のコンサルタント
お金のことだけでなく、その人らしさや心の持ち方などの重要性に気付き2015年に三世代充実生活研究所を設立。子どもから高齢者まで各世代への相談業務やセミナー講演会の講師を務めるファイナンシャル・プランナー(以下FP)。約30年のFP経験で、2,000回以上の講演会やセミナーを実施。日々お客さまからのご相談に真摯に取組み、不安や悩みを解決しています。
- 髙橋 佳良子氏のホームページはこちら
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