MONEY

どこから見直す?何を見直す?
家計の見直し
第3回 何のために、いくら節約が必要なのか

家計見直しのために大切なのは「何のために、いくら節約が必要なのかを確認すること」です。

こんにちは、くらしとお金のコンサルタント髙橋佳良子です。

家計の見直しを成功させるためには、具体的な目標に向かって、いくら節約が必要なのかを知ることが大切です。

いくつか例をあげてみましょう。

毎月の赤字を解消するために、月々3万円節約する

教育費のために10年後に300万円貯めたいから、月々2万5,000円節約する

※300万円÷10年÷12カ月=2万5,000円

来年の家族旅行のために18万円貯めたいから、月々1万5,000円節約する

※18万円÷12カ月=1万5,000円

3年毎くらいに家電が壊れるから、家電の買い替え費用を20万円準備しておきたい
ボーナスで取り置きできるなら取り置くか、月々約6,000円節約する

※20万円÷3年÷12カ月=5,555円

車の買換えのために5年後に200万円必要だから、月々約3万4,000円節約する

※200万円÷5年÷12カ月=33.333円

このように、具体的な目標があるほど節約金額がはっきりするので効果的です。

家計の見直しの進め方

  • 01家計簿をつけて家計の棚卸を行う
  • 02赤字を解消するために必要な節約額を知る
  • 03貯蓄をするために必要な節約額を見積もる
  • 04②→③と優先順位を決めて家計費の節約を行う
  • 05家計費の節約は「固定費→変動費」の順番で考える
  • 06解約や契約の見直しが必要ならすぐに手を付けて、そのままにしない
  • 07貯蓄のために節約ができたら、すぐに積立商品を探して積立を始める
  • 083カ月後、半年後、1年後にうまく回っているかを確認して、必要ならさらに見直しを行う
  • 09上手にお金を貯めるためには情報収集を欠かさない
  • 10張り切りすぎて無理な節約にならないように気を付ける

家族に協力を要請

ご夫婦やご家族の場合の節約には、家族みんなの協力が必要になります。家族で共通の目的をもち達成するために、一緒に節約していくことが大切だからです。
妻が一生懸命節約しているのに夫や子どもたちが外食やレジャー、洋服、趣味にとついつい想定外のお金を使ってしまい、努力が水の泡になってしまったというのはよく聞く話です。

ご家族の性格によっても異なると思いますが、節約できた金額を毎月発表してゲームのように結果を楽しんでみるのもおすすめです。達成できればささやかなお祝いをしたり、達成できなかった時には笑える罰ゲームをするなどです。

我が家も、子どもたちが小さい頃は競って電気を消して回ったり、レジャー費の節約でお弁当を作って無料で遊べる公園を巡ったりしたのを思い出します。

案外子どもは親のことをしっかり見ていて、お金の使い方や貯め方を自然に親から学んでいると思います。そう考えると、子どものためにも親は上手にお金を貯めて上手に使うという基本を見せたいものです。

我が家の長女が社会人になった時には、4・5・6月の3カ月分の給与明細を片手に月々の家計を予算立てして毎月とボーナス時の積立額を一緒に考えました。同時に積立のための商品と医療保障を選びました。その際に、1年後、2年後、3年後に貯蓄がどのくらいになっているかを示すと「お金を貯めるのは大変だね」と笑っていましたが、先日「NISAの勉強がしたい」というので彼女の職場の先輩も一緒にレクチャーを行いました。20年後、30年後、40年後と積立投資の結果がどうなっているか楽しみです。

家族を巻き込んだ節約はお金の勉強にもなり、団結力も高まるはずです。

おひとりさまは、節約のモチベーションを保つ仕組みを作る

おひとりさまの場合は、モチベーションを保ちながら節約を楽しむことが必要です。
まずは、やめることを探していきます。ジムや英会話など、行こうと思いながら行けていないものがあれば、思い切って解約してみましよう。
また、お金を使わない日を設けたり、買い物リストを作って買い物に行くなど、無駄遣いをしない仕組みを作ることをおすすめします。健康のためにも自炊を心掛けて、コンビニなどの買い物を減らすと余計なものを買わずにさらに節約できるはずです。

Aさんご夫婦の「家計の見直し」BEFORE AFTER !

「家計の見直し」シリーズの締めくくりとして、実際にご相談をいただいたAさんご夫婦(夫55歳・妻50歳・長女25歳と長男23歳は社会人として独立)の家計BEFORE AFTERをご紹介しましょう。

ご相談

夫は現在55歳ですが、60歳で定年退職したあとは再雇用で65歳まで働く予定。妻は現在50歳で事務職で60歳で仕事をやめようと思っています。子どもが昨年巣立ったので久し振りにのんびり過ごしていました。

しかし、Raseekのコラムを読んで不安になったので、夫に60歳以降の再雇用時の収入を確認したら、ボーナスはなく手取りが現役時代の半分、月々23万円になることがわかりました。妻の収入を足しても月々34万円で、年払いの固定資産税や車の税金や保険料を支払うとほとんど残らないことが発覚。年金生活が始まる前から貯蓄を取り崩すわけにはいかないと思いました。

しかも、今は人生最後の「貯め時」だそう。焦りを感じて家計の見直しを考え始めました。サブスクなど固定費がやや多くなっていると思っています。

月々の家計BEFORE AFTER !

↑横スワイプしてご覧いただけます。

▼「しんきゅうさん」ホームページはこちら
https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/
髙橋佳良子

アドバイス

赤枠部分を見直せば、月々約6万円の支出を削減できます。再雇用までは月々の節約分の6万円と年間でかかる費用をひいた残りのボーナス分の貯蓄が可能になります。
今回は、健康のためのテニスとマッサージは継続。美容院や化粧品は購入頻度の調整や安くて質の良いものへの商品変更を検討して、おこづかいの範囲で賄えるようにしましょう。
決して無理な節約にはなっていないはずです。最初は厳しいかもしれませんが、老後に備えてしっかり家計管理を行っていきましよう。

また、住宅ローンが早く終われば、月々20万円程度で暮らせます。

月々の暮らしに余裕を持たせたいのであれば、なるべく長く働くことです。60歳、65歳までとは考えず、70歳、80歳まで月々2万円でも3万円でも収入があれば、プチ旅行や孫と一緒においしいものを食べに行けますよね。
そういえば、知り合いの80代の女性が大好きな絵手紙を作成して販売しているという例もあります。生き甲斐にもなりますし、多少ですが収入も入ってきます。
人生の後半を楽しみながら工夫して心豊かに暮らしていけると良いですね。

この他にも、「家計の見直し」に取組んだみなさんからコメントをいただきました。

「なんとなく貯める」から「具体的な目標額を設定して貯める」ことができるようになりました!
教育費など今までは貯められるだけ貯めればよいと思っていましたが、具体的にかかる金額とそれを準備するための月々の積立額がわかり、具体的な家計の節約額もはっきりしたので、なんとなく続けていた習い事をやめて積立に回すことができました。これで、目標額が準備できると思って安心しています。

家計簿をつけたら、貯蓄が増えない原因がわかりました!
子どもが生まれて保育園に預けて復帰したものの、働いている割に貯蓄が増えないと思っていました。そこで、家計簿をつけてみたら、仕事をしながらの子育てが大変なので、どうしても外食や総菜の購入が多くなり食費が思った以上に多くなっていたことがわかりました。
現在は夫婦でお金の「かかり時」なんだと理解して、子育てと自分達の健康を大切に、ストレスをためないようにしていこうと決めました。子どもが小学校に入るくらいには、「貯め時」を意識してしっかり貯められるようにしようと思っています。

みなさん、コラムを読んでいただき、気づきを得て実践して頂いているようです。
家計の見直しは実践あるのみ、「あの時、髙橋さんのコラムに出会って良かった」と言って頂けると最高です!!

髙橋佳良子

いかがでしたでしょうか。
今の暮らしを大切にしながらも、将来も安心して暮らせるように家計を見直して準備していきましょう。

Profile

くらしとお金のコンサルタント
髙橋 佳良子

お金のことだけでなく、その人らしさや心の持ち方などの重要性に気付き2015年に三世代充実生活研究所を設立。子どもから高齢者まで各世代への相談業務やセミナー講演会の講師を務めるファイナンシャル・プランナー(以下FP)。約30年のFP経験で、2,000回以上の講演会やセミナーを実施。日々お客さまからのご相談に真摯に取組み、不安や悩みを解決しています。

髙橋 佳良子氏のホームページはこちら
https://sansedai-oyakomago.jp/