さて、最近は共働き世帯が多くなりました。
下記グラフをご覧ください。今から30年前くらいまでは専業主婦家庭が多かったけど、それ以降は共働き家庭が圧倒的に多くなったみたいです。
確かに、うちにご相談にこられるお客さまもほとんどが共働き家庭。パートの方でも、ほぼ毎日出勤しているという人が増えているようです。
こんにちは、しばちゃん。今回の「共働き編」もよろしくお願いします。
私はシングルなので、「共働き」についてはわからないことだらけですが、ちゃんと知っておきたいです。よろしくお願いします。
共働き等世帯数の年次推移(1980年~2017年)
↑横スワイプでご覧いただけます。
- ※厚生労働省 「2018年版 厚生労働白書」より
- 資料:1980~2001年は総務省統計局「労働力調査特別調査」、2002年以降は総務省統計局「労働力調査(詳細集計)(年平均)」
- (注)1.「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」とは、夫が非農林業雇用者で、妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者)の世帯。
- 2.「雇用者の共働き世帯」とは、夫婦ともに非農林業雇用者の世帯。
- 3.2010年及び2011年の[ ]内の実数は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果。
- 4.「労働力調査特別調査」と「労働力調査(詳細集計)」とでは、調査方法、調査月などが相違することから、時系列比較には注意を要する。
そうですね。私のまわりもご夫婦で働いている家庭が多いです。結婚しても仕事をやめる人はほとんどいませんね。
夫婦そろって毎日忙しくしている方が多くなったということですね。専業主婦家庭が多かった時代は、夫がひと月分の生活費を妻に渡して、他のお金は夫が管理しているケースが多かったんですよ。
そうなんですか。今はどんな家庭が多いのですか?
現在は、色々なんです。どちらかというと、夫婦の家計を妻が管理する方が多いかな。
すべての口座を妻が管理して夫におこづかいを渡しているというパターン、
夫婦それぞれが生活費を出しあい、あとはそれぞれで管理している(好きに使っている? )というパターン、
などさまざまですね。
でも、実はお金の管理がうまくいっていない家庭が少なくないんですよ。
つまり、共働きによって収入が多くなったので、その分家計のやりくりがラクになって貯蓄が増えていると思われがちですが、そうとも限らないんです。
えっ、どうしてですか?
収入が2倍になるので余裕ができるように思うのですが……。
「共働き世帯」の家計の問題その1「家計管理のザル化」
問題はふたつあるんです。
ひとつは、「家計管理のザル化」です。
ダブルで収入が入ってくるので、やりくりに困ることがない分、「家計がザル=何に使っているかわからない状態」になってしまうこと。
仕事と子育てで忙しく、家計の予算を立てて、家計簿をつけたり、節約したりということが難しくなっているからなんです。どれくらいの金融資産を持っているかの把握ができていない家庭も多いですね。
家計のやりくりと金融資産の把握は一度「しくみ」を作ってしまえばラクになるんですが、それができなくて毎年いくら貯めているかわからないという家庭が少なくありません。
わかるような気がします。
特に子どもさんが小さいと、毎日朝から晩までバタバタしているような感じなんでしょうね。当面どうにかなっているのなら、お金のことは大事なことなんだけど、後回しになってしまうかもしれないですね。
私も、ふたりの子どもが保育園に通っていたころは、どうやって毎日を過ごしていたか覚えてないですよ(笑)
でもね、10年後、20年後、30年後のことを考えると、お金のことをちゃんとしておかないと取り返しがつかなくなってしまうんです。
前回のお話でも、老後のお金の積立てを早く始めるのと遅く始めるのでは運用に大きく差が出ていましたもんね。少しずつでもいいから、早く始めなきゃ!って思います。 もうひとつの問題は何なんですか?
「共働き世帯」の家計の問題その2「お互いの勘違い」
ふたつめの問題は「お互いの勘違い」です。
勘違いですか?
お互いに「相手が貯めていると勘違いしているケース」や、定期的に積立てをしているのに、お金が必要になったときに「勝手に解約して使ってしまい相手には伝えていない」ケースなどです。相手がそこそこ貯蓄しているだろうと思っていたら、実は子どもの学費や老後に必要なお金が足りなかったという話はよくあります。
妻が「大学の入学資金で100万円必要なの、財形あったよね?」と言うと、夫が「この間、車を買うときに使ったじゃないか…」という感じですね(笑)。
ありそうですね。
年末年始に、金融資産の一覧表を作成して毎年更新していればいいんですが、できていない家庭が多いですね。
いつも頭の中では、あそこに□□円、あそこに〇〇円あるから、合計●●円くらい持っているかなと思うんですが……。
書き出してみると思っていたより多いとか、少ないとか、計算するたびに金額が違うとか、ありますよね。
あるある!そうなんです。
と、いうわけで
やっていただきたいこと
ご夫婦それぞれの勤務先で利用できる、お得な貯蓄商品やDC(確定拠出年金のマッチング拠出)を探してみましよう。
基本は、第1回でお話したとおり、「先取り貯蓄」です。
将来必要な学費や老後のためのお金を積立して貯めるために、積立額を収入からあらかじめ差し引いて、残りで生活するというもの。
無理は禁物ですが、継続できる範囲で積立のしくみを作っておくと将来必ず役に立ちます。
その中でも、特に30代、40代なら老後資金に関しては「iDeCo」を活用しましょう。20年、30年という時間を味方につけて資産を増やすことが可能です。
もう一度おさらいです!
【20代の共働き家庭】
まだまだ子どもの人数など未確定な部分が多いので、まずは堅実な「財形貯蓄」などの「積立貯蓄」と「つみたてNISA」で増やしていきましょう。
児童手当は子どもの将来のためにしっかりとっておきましょう。
まだ、お子さんのいない家庭は貯め時です。なるべく今のうちに資産を増やしておきましょう。
【30代の共働き家庭】
堅実な「財形貯蓄」などの「積立貯蓄」と「つみたてNISA」に加え、そろそろ「iDeCo」を始めたいところです。
やはり、児童手当は子どもの将来のためにしっかりとっておきましょう。
幼い子どもがいればかなり多忙だと思いますが、お子さんが小学校までが貯め時です。余裕があると思わないで今のうちに貯めるという気持ちで臨んでください。
iDeCoについては、〈ろうきん〉のスペシャルサイトもご覧ください。
【40代の共働き家庭】
「財形貯蓄」などの「積立貯蓄」と「つみたてNISA」「iDeCo」をがんばって継続しましょう。
子どもの大学進学などで、最もお金のかかる時期です。ここから、預貯金の取り崩しが始まりがちですが、できる範囲で「積立のしくみ」を継続しましょう。
【50代の共働き家庭】
退職金の金額を確認して老後資金との兼ね合いも考えはじめましょう。
子どもが独立前なら40代共働き家庭と同じですが、子どもが独立した後は、一気に老後資金を増やしましょう。「積立貯蓄」、「iDeCo」や「つみたてNISA」は継続、その他にも老後の生活をイメージしながら先取り貯蓄で金融資産を増やしましょう。
現在の積立額や貯蓄をわかりやすく管理するためには、【積立表】を作成しておけば、夫婦の勘違いもなくなります。1年に何回かは積立残高のお知らせがお手元に来るので、毎年年末年始にでも現在高を確認して表を更新してください。
商品 | 名義 | 積立額 | 残高 2021年12月31日 |
目的 |
---|---|---|---|---|
iDeCo | 夫 | 月5,000円 | 30万円 | 老後資金 |
iDeCo | 妻 | 月5,000円 | 20万円 | 老後資金 |
つみたて NISA |
夫 | 月5,000円 | 20万円 | 教育費 |
財形貯蓄 | 妻 | 月2万円 夏・冬ボーナス 5万円ずつ |
100万円 | 教育費 |
預貯金 | 妻 | 夏・冬ボーナス 10万円ずつ |
300万円 | (万が一のための貯蓄) 半年から1年分の生活費など |
合計 | 年間72万円 | 470万円 |
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しばちゃん、いかがでしょうか。
共働き夫婦の場合、しっかり管理できるとお金も貯まりやすくなります。マイホームの購入資金、子どもの進学資金、夫婦の老後資金といったように、目的ごとにおおよその見当をつけて毎月・ボーナス時の積立金額を設定してください。
なるほど。何のために貯めるのかという目的が重要なんですね。私も、先取り貯蓄で計画的に増やしていきたいと思います!
人生100年時代を乗り切る資産運用
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くらしとお金のコンサルタント
お金のことだけでなく、その人らしさや心の持ち方などの重要性に気付き2015年に三世代充実生活研究所を設立。子どもから高齢者まで各世代への相談業務やセミナー講演会の講師を務めるファイナンシャル・プランナー(以下FP)。約30年のFP経験で、2,000回以上の講演会やセミナーを実施。日々お客さまからのご相談に真摯に取組み、不安や悩みを解決しています。
- 髙橋 佳良子氏のホームページはこちら
- https://sansedai-oyakomago.jp/