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人生100年時代を乗り切る資産運用 -第2回 シングル編-

髙橋佳良子

しばちゃん、こんにちは。
今回は独身の方のための資産運用=「シングル編」です。
しばちゃんは、シングルでしたよね。役立つお話ができれば嬉しいです。

しばちゃん

しっかりメモします(笑)

髙橋佳良子

まずは、質問です。
よくある質問なんですが、日本での「初婚年齢」って大体何歳位だと思いますか?

しばちゃん

ん~、先輩や友達とかをみていると……。

髙橋佳良子

「平均値」は、男性が31.1歳、女性が29.4歳なんですって。
どんな感想でしょうか?

※日本の平均初婚年齢 厚生労働省 「2018年人口動態統計月報年計(概数)の概況」より

しばちゃん

大体それくらいですかね。30代の独身の人も多いなとは思うけど、平均とか言われるとよくわからないです。

髙橋佳良子

では次に、生涯結婚しない人の割合「未婚率」はどのくらいでしょう?

しばちゃん

えーっと。10%位ですか?

髙橋佳良子

50歳時の未婚割合は、男性が23%くらい(4人に1人)、女性が14%くらい(7人に1人くらい)です。
私は、思ったより多いなと感じました。

※50歳時の未婚割合 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2018年版)」より

しばちゃん

そういえば、最近ずっとシングルの人も多くなりましたよね。
叔父とか叔母もシングルの人います。結構身近にも多いですね。

髙橋佳良子

そうなんですよ。
さて、いよいよ本題に入りましょう。

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  1. 「シングル」と言っても、状況はいろいろ
  2. どのように老後のお金を準備するのか?
  3. 年代ごとにどんな形で運用すればいい?
01

「シングル」と言っても、状況はいろいろ

髙橋佳良子

今回は「シングル編」なんですけど、状況は年齢(年代)によっても異なりますよね。

20代・30代は、今はシングルだけど、将来的に結婚や子育てが視野に入っていますよね。
40代は、結婚や子育ても視野に入るけど、子育てを終える頃には60歳を超えるので自分の老後との兼ね合いも気になるところです。結婚はするかもしれないけど、子どもはどうしようかなと悩む人も多いと思います。
50歳を過ぎるとシングルで老後を迎えることになるかな?と考え始める頃でしょうか。

私の知人たちも独身が多いけど、40代、50代で結婚するケースも増えてきましたよ。人生100年時代だから、いろいろなケースが出てくるでしょうね。

しばちゃん

結婚はしたけど離婚してシングルという人も多いと思います。
結婚も離婚もするかしないかなんてわからないけど、老後は必ずやってくるのでお金のことはちゃんと自分で準備しておかなくては!

髙橋佳良子

しばちゃん、そうですよね。
実は、ファイナンシャルプランナーとしては、さまざまな世代の皆さんがどのような人生を送るのかとても楽しみにしているんですよ。
でも、皆さんに共通して心配なのは、やはり人生終盤の老後。
若い間は仕事を頑張って、さらに副業で稼ぐ人もいるでしょうが、65歳、70歳を超えてくると、収入の中心は公的年金。それまでに、老後のお金を貯めておいて欲しいと思います。完璧は難しいかもしれませんが、ある程度の老後資金は確保しておきたいですよね。

しばちゃん

勤めている会社によっても退職金の有無や何歳まで働けるかなど条件が違うので、もしかしたら退職金だけで老後資金ができる人もいるかもしれませんが……。
老後のための基本的なお金の貯め方・増やし方を知りたいです。

髙橋佳良子

そうですね。
「お金が貯まる人=収入が多い人」というイメージがあるかもしれませんが、実は収入が多いと、生活費も多くなりがちです。すると、現役時代の習慣で老後も支出が大きくなりやすく、その分老後のお金がたくさん必要になるってこともあるんですよ。

しばちゃん

そんなものなんですね。

02

どのように老後のお金を準備するのか?

髙橋佳良子

では、どのように老後のお金を準備するかお話しましよう。

しばちゃん

お願いします。そもそも公的年金っていくらくらい受取れるんですか?

髙橋佳良子

公的年金は、会社員の皆さんだったら厚生年金と国民年金の両方を受取ることができます。
受給額は、納付期間や年収、性別、退職予定年齢などの条件により異なり、計算も複雑なので一概に言えません。
毎年お誕生月に届く「ねんきん定期便」をみれば、50歳未満の方には、これまでの加入実績に応じた年金額、50歳以上の方には、65歳から受取れる年金見込額が記載されています。

たとえば、現在30歳の女性で、22歳に働き始めて65歳で退職予定の会社員(100人未満の一般事務)の場合の年金受給額を試算すると、厚生年金と国民年金をあわせて、月額12.6万円くらいです。
ただし、これは見込額を試算したもので、将来の年金受給額を正確に示すものではありません。また、今後の年金制度改正等により、試算結果が変わる場合があります。

しばちゃん

思ったより少ないですね~。
年金だけで老後の生活費を賄うのは難しそう。

髙橋佳良子

そうなんです。だから、早めに老後資金の準備を始めないといけないんです。

例えば、老後の生活費が1人で月に15万円(生活費や税金なども含めて)必要と考えたら、

15万円-12.6 万円(公的年金額)=毎月2.4万円不足

65歳で仕事を辞めて~100歳まで生きるとしたら、
35年間分の不足分を準備しなければならないですね。

2.4万円×12カ月×35年=1,008万円

月額2.4万円の生活費の不足分を補うためには、1,008万円が必要だとわかります。

しばちゃん

やっぱり、1,000万円以上は必要ってことですね。

髙橋佳良子

暮らし方にもよると思いますが、多くの場合は必要ですね。
月々2.4万円が必ず必要になるお金だと考えると、60歳まで引出すことのできない「iDeCo(イデコ)」を使って増やすことをおススメします。
通常の投資で利益が出ると運用益から約20%の税金が引かれますが、iDeCoは税制優遇があるので、利益の100%を受取ることができます。たとえば、月々約2万円を30年間運用(2.5%)すると約1,070万円になります。
また、運用期間中の掛金が所得控除の対象になるし、老後の受取時には年金として受取ると公的年金等控除の対象となり一定の金額までは税金がかかりません。
現在30歳の方だったら30年後の60歳の時には1,000万円程度の資金を準備できそうですね。
投資なので確実に2.5%の利回り……とはいきませんが、国内外の株式や債券などを組合わせればそんなに難しい数字ではありません。

しばちゃん

現在40歳や50歳の人だといくらくらいの積立が必要なんでしょうか?

髙橋佳良子

同じ条件で、1,070万円を貯めようと思えば、40歳の方だと月々約3万円、50歳だと月々約8万円の積立が必要です。ただ、iDeCoで毎月拠出できる掛金には上限があります。上限となる金額は、個人の属性によって異なり、たとえば会社員なら月額2.3万円が上限なので、iDeCoだけで1,070万円を準備するのは難しくなりますね。

iDeCoについては、〈ろうきん〉のスペシャルサイトがあります。
掛金額チェックや、節税シミュレーターもありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ろうきんのiDeCo スペシャルサイト

用語解説

【iDeCo】個人型確定拠出年金

自分が拠出した掛け金を、自分で選んだ商品で長期にわたって運用することで、老後資金を効率的に準備できるしくみ。加入者は、まず毎月一定の掛け金を積立て(拠出し)、定期預金、保険、投資信託などの運用商品のラインナップから好きなものを選び、掛け金を元手に自ら運用します。そして60歳以降に、運用して得た利益分を含む金額(資産)を、年金または一時金として受取る「自分で育てる年金」です。2021年6月現在は60歳未満が対象ですが、法改正により2022年5月以降は、65歳まで加入できるようになります。

※iDeCoには、口座管理手数料などがかかります。ご留意ください。

しばちゃん

早めに始めれば、月々の掛け金の負担も少なくて済みますね。
iDeCoでいくらの積立をしたらいいかな?って考えていたんですが、老後生活費の不足分を補うっていう考え方だとわかりやすいですね。何のための積立かも理解できるし。途中で積立の掛金を増やしたり減らしたりもできるんですよね。

髙橋佳良子

そうなんですよ。
お金の貯まり具合の状況をみながら、積立して必要な資金を運用していくイメージです。

しばちゃん

医療費や介護費用などはどう考えればいいですか?

髙橋佳良子

必要かどうかはわからないけど準備しておきたいお金ですよね。
仮に500万円準備するとしましょう。こちらのお金は、「つみたてNISA(ニーサ)」を利用するといいと思います。

「つみたてNISA」も、運用期間が20年までなら、収益(儲かった部分)に税金がかからないメリットがあります。「iDeCo」と違って途中で引出すことができるので、必要なときには使えます。
月々1.6万円を20年間2.5%で運用できたとすると、約500万円程度になります。

iDeCo・つみたてNISAの税金面のメリット

用語解説

【つみたてNISA】少額投資非課税制度

特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。利用できるのは、日本にお住まいの20歳以上の方。1年間に40万円まで新規に投資でき、総額では、最大800万円(40万円×20年間)まで非課税で投資できます。

※一般NISAとの併用はできません。

しばちゃん

この他に、持ち家なら家のリフォーム費用、賃貸なら更新費用、旅行に行ったり、趣味に使うお金など、いろいろ必要ですよね。

髙橋佳良子

これから結婚するんだったら、夫の貯蓄や退職金も老後資金として当てにできそうですが、、、、、マイホームや教育費と、その分出ていくお金も必要になります。
シングルだと、残念ながら相手の退職金や貯蓄などは当てにできないので、しっかり自分で老後のお金を準備しておかないといけないですね。
シングルであってもそうでなくても、70歳を超えても元気でなるべく長く年金以外の収入が得られるようにしておくことが大切ですよ!!

しばちゃん

きびしいな~。

髙橋佳良子

老後資金のためなら「iDeCo」
60歳より前に使う可能性があるなら、「つみたてNISA」
と覚えましょう!

iDeCo・つみたてNISA

03

年代ごとにどんな形で運用すればいい?

髙橋佳良子

今日は「iDeCo」や「つみたてNISA」で運用するお話をしましたが、手元には半年から1年位は生活できるだけの現預金を持っておくことも大切です。何事もコツコツ積み重ねていきましょう。

シングルのための投資について、年代ごとにどんな運用を行えばいいのかも、参考にしてください。

20代 生活を支える貯蓄+「つみたてNISA」+自己投資

20代は、まず半年は暮らせるだけの手元資金を準備しましょう。余裕があれば「つみたてNISA」に挑戦。若くて体力のあるうちに、自己投資することも忘れずに。

30代 財形など+「iDeCo」+「つみたてNISA」 積極的に攻めて資産を増やしましょう

30代は、長期投資を始める良い年齢。「iDeCo」を始めてみましょう。「つみたてNISA」も積極的な運用ができます。

40代 財形など+「iDeCo」+「つみたてNISA」 積極的に攻めながらも、住宅購入などの検討があるかも

40代は、「iDeCo」も「つみたてNISA」も継続して欲しいのですが、もし住宅ローンでマイホームを購入するなら、30年以上の長期ローンが組める最後の年代。ライフイベントの変化にも柔軟に対応しましょう。

50代 財形など+「iDeCo」+「つみたてNISA」 ただし、長期投資は難しいかも。

50代は、後半になれば具体的に老後のイメージがわいてくるはず。「iDeCo」や「つみたてNISA」を継続しながら少しずつ安定運用にシフト。体力作りなど自己投資も。心身ともに長く働くための準備期間でもあります。

しばちゃん

ありがとうございました!
お友だちにも話してみます。

人生100年時代を乗り切る資産運用
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Profile

くらしとお金のコンサルタント
髙橋 佳良子

お金のことだけでなく、その人らしさや心の持ち方などの重要性に気付き2015年に三世代充実生活研究所を設立。子どもから高齢者まで各世代への相談業務やセミナー講演会の講師を務めるファイナンシャル・プランナー(以下FP)。約30年のFP経験で、2,000回以上の講演会やセミナーを実施。日々お客さまからのご相談に真摯に取組み、不安や悩みを解決しています。

髙橋 佳良子氏のホームページはこちら
https://sansedai-oyakomago.jp/